対象
書籍:「会社四季報」2019年4集秋号(ワイド版)
出版社: 東洋経済
発売日:2019/9/19
夏号からの傾向の変化を一言でいえば「自動車の不振が全体の足を引っ張っている」
夏号の発売日が2019/6/18でしたので、
タイミングとしてその後の2020年3月期の第1四半期決算内容が取り込まれています。
全体の傾向として、四季報の言葉を借りれば、
「製造業が3.8%下振れする一方、非製造業は0.6%の上振れとなりました。金融業を除く全産業では1.7%の下振れとなっています。」とのことですが、
読了の感覚として、一言でいえば、
「自動車の不振が全体の足を引っ張っている」
ように思います。
次章で、全体としての傾向の変化をまとめています。
夏号から秋号への全体としての傾向の変化
全体としての傾向(夏号)のおさらい
- 人員不足に苦慮している
- 資材・運賃・人件費が高騰している
- 五輪関連は(運営回りなどを除き)概ねピークアウト
- 国内自動車向けは概ね好調
- スマホ向けは全般的に低調
- 半導体向けは概ね低調
- リチウムイオン電池関連向けは全般的に好調
- (キャッシュが潤沢?)M&Aに積極的
全体としての傾向(秋号)
人員不足に苦慮している(変わらず)
傾向としては変わっていません。
ただし、人員不足に対して、それを前提にビジネスが続けられるような対策が進んでいます。
具体的には、
- 社内の人材教育制度の拡充や海外からの技能実習生の受け入れ体制の確立など人を増やす仕組みづくりの方向と、
- 業務支援ソフトの導入や物流倉庫の自動化など少ない人数で解決していく方向
の二方面からです。
資材・運賃・人件費の高騰は一服
資材・運賃・人件費は高止まりしていますが、勢いは収まっているように見えます。
費用の価格転嫁や、施工管理の徹底、採算重視の受注などにより、落ち着いてきているようです。
防災対策、高速道路の補修、太陽光発電工事など需要は底堅い
前回から五輪関連は一部を除き概ねピークアウトしていると見ています。
一方、防災対策、高速道路の補修、太陽光発電工事など、まだまだ建設業周りの需要は底堅いようです。
自動車向けは国内、海外とも不振
自動車市場向け事業は全般的に不振です。 前回は国内自動車向けの事業は概ね好調に見えていました。
主に国内メーカーであれば日産、ホンダ、スズキ向け、地域であれば北米、欧州、インドの減産の影響が大きく出てるようです。
自動車関連は裾野が広いので、その低迷を受けて、機械、精密機械、電気機器、化学など広い業種で数量減の影響を受けている企業が散見されています。
スマホ向けは全般的に低調(変わらず)
半導体向けは概ね低調(変わらず)
リチウムイオン電池関連向けの好調は一服
前回はリチウムイオン電池関連向けは全般的に好調に見えていました。
コメント欄での記載が減っているので一服しているのではないかと思います。
自動車の低迷の影響を受けているのかもしれません。
M&Aには一層積極的
前回もM&Aに積極的でしたが一層積極的になっているように見えます。
キャッシュが潤沢な企業が多い影響でしょうか。
株式市場にとって、とてもポジティブに見ています。
全体としての傾向まとめ
2019年第3集夏号 | 2019年第4集秋号 |
人員不足に苦慮している | 変わらず |
資材・運賃・人件費が高騰している | 資材・運賃・人件費の高騰は一服 |
五輪関連は概ねピークアウト | 防災対策、高速道路の補修、太陽光発電工事など需要は底堅い |
国内自動車向けは概ね好調 | 自動車向けは国内、海外とも不振 |
スマホ向けは全般的に低調 | 変わらず |
半導体向けは概ね低調 | 変わらず |
リチウムイオン電池関連向けは全般的に好調 | リチウムイオン電池関連向けの好調は一服 |
M&Aに積極的 | M&Aには一層積極的 |
後書き
夏号は17日かかりましたが、今回、秋号は発売から11日(実際にページをめくれたのは10日)ほど、9/29に読了できました。
嬉しくもラグビーW杯の盛り上がりのおかげで、予定より時間かかってしまいました。
全体の傾向に続いてまとめた、業種別の動向についてはこちらです。
業種別に見ていくと、消費者に近い業種ほど良くない傾向ですが、企業自身にはお金があり投資意欲は旺盛です。
最後に、お断りですが、
「人は見たいものしか見ない」生き物ですので、業種について偏りや抜け、また情報の曲解も間違いなくあると思います。
その点については、優しい目でご了承いただければ幸いです。
ご参考までに、夏号のポイントまとめはこちらです。