対象
書籍:「会社四季報」2019年4集秋号(ワイド版)
出版社: 東洋経済
発売日:2019/9/19
業種別に掘り下げてみていきます
会社四季報2019年4集秋号の内容を業種別に掘り下げてみていきます。
秋号の読了後にまとめた、夏号からの全体の傾向の変化を一言でいえば「自動車の不振が全体の足を引っ張っている」でした。
その際の内容はこちら。
今回は、頭から全ページ目を通した際に、目についたところ、引っ掛かったところを業種別にまとめています。 (会社四季報の業種別のくくりに対して、網羅的になっていない点はご了承ください。)
業種別の動向のまとめ
水産
- 原材料高騰の傾向が続く
建設
- 施工管理強化などにより人件費増を吸収
- 選別受注により収益の悪化を防ぐ
- 太陽光発電周りが底堅い
- 高速道路について、PC床版交換など補修の需要が多い
鉱業
- 市況悪化により石炭の単価下落
食料品
- 菓子、冷菓等、全般的にさえない
- ペットボトルの自販機販売不振
サービス
- 警備の需要が多い、企業の外注化が追い風
- 人材派遣サービス好調
- 製造派遣は好調、自動車向け〇、半導体向け✕、の傾向続く
- コールセンターの需要が活発
情報・通信
- ITインフラサービス好伸
- システム開発の好調が続き、SEが不足
- システム開発は、製造業向け、金融向け、通信向け、の案件が多い
- 放送はスポット広告が市況低迷で大幅減
- スマホゲームの減退は想定超
- 営業支援ソフトや働き方改革がらみが好調
不動産
- 既存ビルは高稼働で、賃料ジリ高傾向
- 投資用の融資環境は厳しいが需要は堅調
化学
- 自動車市場の低迷による数量減が散見
鉄鋼
- 海外の需要が減退し市況が軟調
- 電炉は鉄スクラップ価格下落で利ザヤ拡大
金属製品
- 自動車向け不振、特に日産向け減産影響大きい
- 建設、住宅関連向け好調
非鉄金属
- 全体的に壊滅状態
- 市況の悪化による採算低下と在庫評価損
- 特に電子部品材料向けの減退が鮮明
総合商社
- 鉄鉱石の利幅拡大など全般的に業績好調
小売
- 長梅雨による消費意欲の減退
- ドラックストアは競争激しく、食品伸長でカバー
- ホームセンターはペット関連以外は苦境
- 衣料全般で低調,冬物向けやスーツが低迷
- 狭小立地の出店形態探る動き
陸運
- 運賃上げ浸透
- 3PL(物流一括受託業務)が顧客深耕で好調
輸送用機器
- 自動車の販売台数減速、特に北米、欧州、インド
銀行
- 利ザヤの縮小を貸出増で補う動き
- 債券売却益でカバー
証券
- 市況軟調で株式委託手数料さえない
その他(全般的に)
- M&Aに一層積極的
業種別の動向の一覧
業種別の動向を〇△✕で仕分けをしてみました。あくまで通しで読んでの主観です。
〇(概ね好調) | 建設、サービス、情報・通信、不動産、総合商社、陸運 |
△(好不調ミックス) | 鉄鋼、金属製品 |
✕(概ね不調) | 水産、鉱業、食料品、化学、非鉄金属、小売、輸送用機器、銀行、証券 |
後書き
一覧まとめから、消費者に近い業種ほど良くない傾向が読み取れます。
消費増税や天候不順・災害など原因は様々あると思いますが、消費マインドはかなり低下している模様です。
一方、企業自身にはお金があり投資意欲は旺盛で、積極的な投資がみられます。
全体として自動車の需要が帰ってくれば、かなり雰囲気も良くなるのではと期待しています。
引き続き、会社四季報をフォローしていきたいと思います。
また、お断りですが、
「人は見たいものしか見ない」生き物ですので、業種について偏りや抜け、また情報の曲解も間違いなくあると思います。
その点については、優しい目でご了承いただければ幸いです。
ご参考までに、夏号のポイントまとめはこちらです。