疑問の背景
議決権行使を行っていく中で、「監査等委員会設置会社」へ移行するために一部定款を変更する、という議案がありました。 また、「監査等委員である取締役」という、勉強不足で恐縮ですが、聞きなれない用語もありました。
通常よくある「監査役会設置会社」には、取締役会があって別に監査役会がありますが、それとは何が違うのか、良い機会と思い、調べたなりの理解を以下にまとめました。
零細株主として議決権行使をする立場で見ています。
監査役会設置会社と監査等委員会設置会社の比較
監査役会設置会社 | 監査等委員会設置会社 | |
監査役会 | 取締役会とは別に監査役会を設置する | 監査役会は設置しない 取締役会の中に監査等委員会を設置する |
チェック機能 | 監査役(会)が取締役会における意思決定をチェックする | 「監査等委員である取締役」がそれ以外の取締役をチェックする |
監査等委員会設置会社では、取締役の中を監査する側(監査等委員である取締役)と監査される側(監査等委員である取締役以外の取締役)に分けてチェック機能を働かせるということですね。
これまでの監査役会における監査役と何が違うのでしょうか。
監査役会設置会社における 監査役 | 監査等委員会設置会社における 監査等委員である取締役 | |
人数 | 3人以上 | 3人以上 |
独立性 | 過半数は社外監査役 | 過半数は社外取締役 |
取締役会での議決権 | 無し | 有り |
取締役会での議決権の有無以外はあまり変わりがないように見えます。それでは、手間をかけて移行するメリットは何でしょうか。
監査等委員会設置会社への移行のメリット
ガバナンス強化
これまでの監査役が監査等委員である取締役となった場合には、取締役会の議決権を持つことになるので、ガバナンスの強化に繋がると考えられます。
例えば、代表取締役をはじめ取締役(監査等委員である取締役を除く。)の選解任にも口を出せることになります。
海外の機関投資家にも支持されやすいそうです。
社外役員数抑制
コーポレートガバナンス・コードでは、独立社外取締役を少なくとも2名以上選任することを要求しています。
そうすると、監査役会設置会社では、社外監査役2名に加え社外取締役2名の最低でも合計4名の社外役員の選任が必要となります。
一方、監査等委員会設置会社に移行すれば、(監査役無しで)2名の監査等委員である取締役の選任のみで対応が可能になります。
もしそれが目的であれば、監査等委員会設置会社への移行に関する議案に同意はできません。(もちろん社外役員抑制が目的とは書かないでしょうから、判断難しいとは思いますが。)
後記
コーポレートガバナンスのための監査組織の違いによる会社のタイプとして、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社のほかに、指名委員会等設置会社というものがあります。委員会が多く、結果として必要な役員も増え、ハードルが高いため採用している企業は少ないそうです。
機会があれば、零細株主目線で調べてみたいと思います。
また、今回の理解を議決権行使の基準に反映させたいと思います。