背景
取締役会のメンバーに女性が入ることについては積極的に賛成です。
先日、日経で
「取締役会が変わる 上場企業3社に1社が女性を起用」
という記事がありました。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO48847870S9A820C1000000?channel=DF130120166018
NIKKEI STYLE 2019/8/27
コーポレートガバナンスの視点で、気になっていた点でもあるので少し掘り下げてみたいと思います。
何故、女性の取締役?
取締役会メンバーに女性がいることのメリットは何でしょうか。
零細株主として上場企業の取締役と接する機会は株主総会への出席ですが、女性の取締役がいる会社のほうが、株主に対してオープンで、株主総会の雰囲気も良いように感じています。
内閣府男女共同参画局の言葉を借りると、
「女性が企業の意思決定に関わることは、多様な価値観が企業の経営に反映されるとともに、多様な価値観を受容する組織ではイノベーションが促進され、企業競争力や社会的評価が向上し、企業価値の向上にもつながります。」
ということになります。
取締役に女性がいることで、取締役会の雰囲気も変わり、発言の内容や仕方、言葉の使い方も変わってくるのではないかとも思います。
とりわけ取締役には、代表取締役を監視する役割も担っています。取締役が自身の役割を果たしているかという視点で、女性の取締役がいることが取締役会の刺激になることを期待しています。
女性取締役の人数について
日経記事データ
日経記事のデータに関する部分を引用させていただくと
「企業統治助言会社プロネッド(東京・港)の調べによると、東証1部上場企業の取締役のうち女性は1111人(5.7%)で昨年から5割以上増えたもよう。社外取締役は80%、社内は20%となる。女性社外取締役を起用する企業は35.8%で、ガバナンス改革が始まる前の2011年の3.6%から10倍になった。」
ということでした。
数字のチェックをしてみます。調査のスコープは東証1部ということなので、約2100社。
取締役は1社あたり平均10人として2万1千人くらいはいるはずで、プロネッド社の調査によると女性が1111人とのことなので、5%強という比率は数字としては良さそうです。
3社に1社というと、聞き心地としては多いように感じますが、
絵としてイメージしてみると、株主総会で取締役が壇上に18人並んでようやく1人です(今どき18人も取締役がいる会社はなかなかないかもしれませんが)。
やはりまだまだ少数と思います。
内閣府男女共同参画局データ
別なデータも見てみます。
こちらは内閣府男女共同参画局ホームページにある有価証券報告書に基づく上場企業の女性役員の状況についてのデータです。
http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/sangyo_list2017_4-2018_3.pdf
内閣府男女共同参画局HP有価証券報告書に基づく上場企業の女性役員の状況
こちらは上場企業3700社をカバーしています。
女性役員の比率は4.1%と先ほどの日経記事の数字(5.7%)より小さくなっています。
要因として考えられるのは、一つはタイミングの問題として、こちらは2017年4月期末から2018年3月期末の有価証券報告書のデータなので時期が古いこと、もう一つはカバーしている企業の範囲が広く、2部や新興市場など比較的に小さい会社も含まれていることです。
2012年から2018年の6年間で、上場企業の女性役員数は約2.7倍に増えているということで、いずれのデータも増加の傾向がみられるところは共通しています。
議決権行使における基本方針について
以下は、自身の議決権行使における基本方針です。
取締役・監査役の選任に関する議案について、チェックすべき項目として「女性の比率」をあげています。
具体的には1/3くらいは女性であるのが理想ですが、数値として基本方針に入れられなかったのには理由があります。
基本的な問題として、取締役を女性と判断して人数をカウントする良い方法が見つけられていないからです。
企業によっては、招集通知の中の取締役・監査役の選任に関する議案の説明の中に女性であることの記載があることもあるのですが、それがない場合は、写真が付いている場合は写真も見て、なければ名前だけで判断せざるを得ません。
出来る、出来ない、の問題というより、女性であるかどうか判断する、という時点で違うなと思い、人数のカウントはやめました。
人数のカウントはしませんが、企業の開示姿勢も含め、チェックはしていきます。
後記
まだ、比率増加のカーブが立ち上がったばかりのステージと見ています。
女性の取締役が増えていくこと、またそのための企業の姿勢にも期待いたします。
引き続きフォローしていくのが肝要ですね。