(当記事は2019年に作成した分析です。2020年版はこちらをご参照ください。)
スーパーマーケットの競争力
各店舗の商圏の中で、
- お客さまをどれだけ固定客として囲い込めるか、
- 適当な頻度の店舗への来店を生活のサイクルに組み込んでもらえるか、
ここがしっかり確立できれば、安定して売り上げが見込めます。
また、その為に、「ドミナント戦略」をとっているケースが良く見られます。
一度確立できれば(何か問題を起こすとか、そのようなことがない限り)、一朝一夕に業績が変わるものではありません。
その為、中長期の投資に適したセクターであり、売上高営業利益率の水準を見ることで競争力を比べることができると考えています。
このあたりの話を、以下の【競争力比較】スーパーマーケット業界(首都圏版)で書かせていただきました。
今回は北日本版として、東北、北陸、北海道のスーパーを比較しています。
それでは見ていきましょう。
比較対象
東北、北陸、北海道エリアの一般的なスーパーマーケットを運営している以下の7つの企業を選びました。
2655 マックスバリュ東北(秋田、山形、青森、岩手で店舗展開。イオン系列。以下MV東北。)
2747 北雄ラッキー(札幌地盤に北海道内で店舗展開。以下北雄L。)
7465 マックスバリュ北海道(北海道で店舗展開。イオン系列。以下MV北海道。)
7475 アルビス(富山、石川、福井で店舗展開。)
7643 ダイイチ(帯広地盤に、旭川、札幌で店舗展開。セブン&アイ系列。)
9948 アークス(東北、北海道で店舗展開。)
9993 ヤマザワ(山形、宮城、秋田で店舗展開。)
他に、イオン北海道(7512)も比較の候補に入れていましたが、業務内容の幅が広いため外しています。2020年3月1日にMV北海道(7465)を吸収合併の予定です。
他にも比較可能な企業があれば加えていきます。
売上高営業利益率の推移
グラフは、2月末決算データ(アルビスは3月末決算データ、ダイイチは9月末決算データで2019は予想値)で、売上高営業利益率の推移を見ています。

上位3社のアルビス、ダイイチ、アークスとそれ以外の間で、売上高営業利益率はきれいに二極化しています。
一度、店舗の基盤、すなわち店舗の商圏のお客さまの基盤が確立できていると思われる企業群は、安定して事業を継続できているのが良くわかります。
一方、そうでない企業群は、利益率の年度による上下も大きめで、どちらかというと右肩下がりの傾向です。
自信の投資対象の観点から、適正な利益水準はスーパーマーケットは最低でも2%、できれば3%と見ていましたが、それをサポートする結果となっていました。
会社の規模の観点で店舗数や売上高ではアークスが抜きんでていて、アークスの利益率は高いですが、同じく利益率の高いアルビスやダイイチは比較の上では規模が小さい方です。
首都圏版と同様に、規模の大きさにより期待される効率化は必ずしも高い利益率に直結はしていないようです。
参考までに、店舗数、売上高含め、その他のデータを添付いたします。
店舗数 | 売上高 | 営業利益 | ROE | 時価総額 | 予想PER | ||
2655 | MV東北 | 95 | 1,033 | 8 | 4% | 182 | 74.3 |
2747 | 北雄L | 34 | 411 | 4 | 2% | 38 | 16.0 |
7465 | MV北海道 | 87 | 1,293 | 13 | 5% | 233 | 31.0 |
7475 | アルビス | 55 | 822 | 26 | 8% | 216 | 10.9 |
7643 | ダイイチ | 23 | 403 | 13 | 7% | 79 | 9.3 |
9948 | アークス | 335 | 5,122 | 148 | 7% | 1,252 | 12.8 |
9993 | ヤマザワ | 73 | 1,107 | 2 | -1% | 176 | 73.4 |
(時価総額及び予想PERは会社四季報秋号、その他データはマネックス証券マネックススカウターより筆者作成)
2019/02決算データ(アルビスは3月末決算データ、ダイイチは9月末決算予想値)、金額の単位は億円。
まとめ
スーパーマーケットという業務形態では利益が中長期的に安定していることを、今回、北日本の7つの企業の売上高営業利益率の推移が比較的フラットであることから確認できました。
この傾向は、首都圏版のスーパーマーケット比較の時と同じです。
また、利益率の二極化傾向から、なかなかドラスティックに業績を改善するのも難しいことが読み取れます。
投資対象としては、安定高位の売上高営業利益率から、
アルビス、ダイイチ、アークス、
と考えています。
