概要
株式会社淺沼組(関西系の中堅ゼネコン、創業125年・浅沼家の同族経営会社。歴史的建造物からマンション・高層オフィスビル建設、地域開発・都市開発、環境整備関連・大規模土木施工、リニューアル工事を営む。)
第86期:2021年3月期
定時株主総会:2021年6月25日
インターネット議決権行使:可(三井住友信託銀行)
議決権行使の方法:インターネット
議決権行使の基準
以下の基本方針に基づいて議決権行使いたします。
議決権行使の結果
招集通知と同封されている資料があればそれらを基に議決権の行使を行っています。
それら以外では、マネックス証券の銘柄スカウターや当社の決算短信、ある場合には決算説明資料等も参考にしています。
第1号議案:剰余金の処分の件(会社提案):反対
配当関連指標
一株当たり配当 | 257円 | 通期 | 中間配当無 | 総額 | 21億円 |
前期配当 | 216円 | 増減配 | +41円 | ||
配当性向 | 50% | ||||
自社株買い | 無し |
資本関連指標
営業CF | -129億円 | (5期平均) | 3億円 |
投資CF | +8億円 | (5期平均) | -2億円 |
設備投資 | 19億円 | (5期平均) | 11億円 |
現金等残高 | 158億円 | (5期前) | 320億円 |
投資有価証券 | 64億円 | ||
有利子負債 | 110億円 | (5期前) | 239億円 |
自己資本比率 | 45% | (5期前) | 19% |
ROE | 10.3% | (5期平均) | 15.7% |
第7号議案:剰余金の処分の件(株主提案):賛成
配当性向が100%となる配当を実施すること。



第2号議案:取締役9名選任の件:反対
第3号議案:監査役1名選任の件:反対
第2~3号議案について、取締役・監査役の選任に関する議案は選任後の主に取締役会の全体像を基に一括で判断する。
独立した社外取締役の割合は基準としている1/3を満たしている(3/9)。
女性取締役は1名。
独立した社外取締役3名のバックグラウンドは建設・弁護士・経営(文具)。
取締役候補者について、特に社内取締役の選任理由の説明では適任とは判断できない。スキルマトリックスはわかりやすくて良いが、建設事業および技術・ITに寄ってしまっている。全体のバランスから、社外取締役に財務・会計や人事などの管理部門の知見を入れたい。
総じて、提案には同意しない。
第4号議案:取締役の報酬等の額改定の件:賛成
第5号議案:取締役(社外取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬等決定の件:賛成
第4号議案で報酬額の枠を減額し、第5号議案で譲渡制限付株式の付与を提案するもの。
制度の巧拙や賞与の額の多寡はわからないが、 企業価値を上げるという点で株主と同じ方を向けるとすれば導入に異論はない。
第6号議案:政策保有株式の売却に係る定款変更の件(株主提案):反対
今期中に政策保有株を速やかに売却する提案。
添付の通り、保有適否判断基準を株主資本目線で定めており、実際に縮減も進めている。
現在の方針および計画に異論はなく、株主提案には同意しない。

総評
設備投資を含め、積極的な資本政策の開示に好感が持てます。
今回の取締役への譲渡制限付株式の付与に関する提案が通り、今後、同じ目線でROEの議論が進むことを望みます。
剰余金の処分について、第1号の会社提案および第7号の株主提案(ストラテジックキャピタル)と併せて判断する。
投資CFは政策保有株式の売却を進めていることもあり当期はプラスに転じているが、設備投資として例年10億円前後の資金を必要としている模様。
営業CFは逆に大きくマイナスで、主な要因は仕入債務の減少115億円と未収入金の増加40億円。前者については添付1枚目の協力会社との連携強化のための支払い現金化によるものと思われる。利益そのものは安定しているため今後の資金供給に不安があるようには見えない。
配当に関して、添付2枚目の通り高い配当および配当性向を維持する計画となっている。同時に80億円規模のリターンプロジェクトを計画している(添付3枚目)。
資金のバランスについては注視が必要と考えるが、中期計画に基づく配当計画は理解する。
一方の株主提案について、ROE低下に対する株主の懸念に対し企業側作成の中期計画では10%以上と過去の水準と比較しても低い計画のままであり、自己資本も増加傾向にある。
必ずしも配当性向100%を望むものではないが、ROE低下の懸念に対する企業側の対応という観点で、会社提案には同意できないため、株主提案に同意する。